三重県教育委員会主催、高等学校での防犯指導者講習会

8月29日、三重県の名張にある高等学校の先生方対象に、高校生のための実践的防犯教育についてお話ししてまいりました。昨今不審な事件が増えているとのことで、先生方も生徒のことを心配されており、どう指導をしたらよいのか、真剣に考えていらっしゃいました。東京に帰宅してから、おりしもニュースで三重で少女の遺体が発見されたとのニュースがあり、無念な気持ちでいっぱいです。

心からご冥福をお祈りいたします。秋には、三重県の中学校の先生方対象に、防犯指導者講習会でお話しします。

二度とこのような事件が起こらないよう、お役にたてるようなお話をしたいと思っています。

三重県中三少女殺害事件実査報告

少女の足取りを考えると胸が痛む
少女の足取りを考えると胸が痛む

三重県の中三女子の殺害事件に関して、胸の痛い気持ちが続いています。

実際に現場に9月1日に行ってまいりました。

少女が歩いたと思われる道を、歩いてみました。

朝日駅を出て、スーパーまで。スーパーから家路を歩いてみました。

遺体遺棄の現場から道路を隔てた反対側は住宅街で、夜間歩くのだったらまだそちらを普通は選ぶでしょう。

しかし、住宅街のほうを歩いて帰るのではなく、竹藪とミカン畑と汚い空き地の側を歩いて帰った少女。

遺体に傷がないのはなぜか、

身の回りのもの(特にスマホ)が捨てられていたのはなぜか、

闇の中を歩く少女の姿を想像すると、あの時間に戻って危機を知らせてあげたい気持ちになります。

警察は行きずり、マスコミは、すごく親しいわけではないが知っていた人物ではないか、などの憶測が流れていますし、

色々とわからない点はありますが、思い出した事件があります。

今回の事件は、豊田市で起こった愛知教育大学付属生徒の田んぼの中での殺人事件と似通う点があります。

①近くを「高速」道路が走り遠距離から接近しやすかった

②誰も居ない一本道を後方から襲った

②被害者は一人で通行していた

④豊田事件では田圃の中に落とし込まれていた

一人で歩く少女を狙うには、場所、時間、などのタイミングをはからなければ、突発的におこなうことは難しい(よほど犯行を重ねたものは別ですが)とおもいます。

ましてや今回のように、真っ暗闇でどこに空き地があるか一見わからない場合、土地勘がないと難しい。

しかし、すごく土地勘があるわけではなく(20メートル奥にはもっと見つかりにくい場所がありました)、県道を数回車などで通ったことのある者、または土地勘はあるけれども体力的に未熟なものが考えられます。

いずれにせよ、場所、時間、心の隙間を狙われたことは確かです。

あの地域一体にも問題があり、近所の人に話を聞いたところ、この10年で窃盗が増えた(県道と高速が通ってから)そうです。地域の変化に気付くことはとても大切です。

では私たちは犯罪に立ち向かうためにどうしたらよいか。ピンチはチャンスとも言えます。

いままでの地域のあり方を考え直し、

1、外灯をつける(域内防犯カメラでなくてもよい)

2、草を刈る

3、パトロールの強化はもちろんですが、ただパトロールするだけではなく、中学生も一緒にパトロールする。

4、子ども自身に安全基礎体力をつける

5、その安全教室の先生は、学校の先生のみならず、地域の人々。

地域の子どもは地域で育てる。

のんき、根気、元気で継続。この気概で地域と子どもを育てていくことが、結局は犯罪に強い街づくりになると思います。

「犯罪と地震から子どもの命を守る!」小学館から本日発売

本日(2013年8月20日)、小学館から「犯罪と地震から子どもの命を守る!」が出版されました。体験学習のためのテキストとなっています。お時間あればお手にとっていただけると幸いです。実際にどうやって体験学習を行えばよいか、どなたでもわかるよう、そしてやってみたくなるように精一杯書き記しました。
「犯罪と地震から子どもの命を守る」

監修: 清永賢二 平井邦彦

著:  清永奈穂

イラスト  山本郁子

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784091067586

犯罪者に狙われやすい状況と狙われやすい子ども

鞄を捨てて走る中学生
鞄を捨てて走る中学生

AERAでは、「はちみつじまん」「ひまわり」とともに、犯罪の被害に遭いやすい子どもの特徴についても紹介しています。もちろん、誰だって、どこでだって犯罪の被害には会う可能性はあります。しかし、被害にあった子どもの特徴、状況を見ていると、ある一定の「遭いやすい」条件が見えてきました。

 一つが「一人で遊んでいる、歩いている子」。これは被害に遭いやすいと容易に想像できると思います。他には「ぼんやりふらふらうろうろきょろきょろしている子」、「きっぱり言えない子」、(性的犯罪者は特に)「体つき、顔つき、服装がアンバランスな子」などです。
 
 人間も動物です。犯罪者は直感的に、獲物をめがけて狙いを定めていきます。相対的に選び、合理的に近づいてくる。狙いやすい場所で、狙いやすい子どもに襲い掛かるのです。

 子どもを一人きりにするなと言っても、それは高学年になればなるほど不可能です。ではどうすれば狙われにくくなるのか。危険な時間、場所では、子どもも野生の勘を働かせ、目の隅で「おかしいな」と思う人がいないか、車がいないか察知するようにならなければならないのです。だからといってビクビクする必要はなく、「はちみつじまん」「ひまわり」など危険を「知る」、自分で危ないときどうすればよいか「考える」、そして、いざとなったらくじけず「行動する」。この3つのことができれば大丈夫。正しい知識を学び、生活していればおのずと身につけることができます。

親子サバイバル教室が開催されました。

揺れを想定した台の上でウサギのポーズの練習
揺れを想定した台の上でウサギのポーズの練習

7月23日、文京シビックセンターにて、親子サバイバル教室が開催されました。今回は防災と防犯について、親子で体験しながら学んでいただくプログラムでした。5分8秒を生き残るためのプログラム、地震が起きた後起こりうる犯罪被害から自分を守るプログラムで構成された2時間でした。参加してくださった方々は「やってみないとわからないことがたくさんあった」「いかにできないかよくわかった」など、たくさんの感想をおっしゃってくださいました。

7月29日にも、文京区教育の森スポーツセンターで体験型防犯教室を開催しました。こちらは幼稚園児の皆様がご参加してくださいました。広い柔道場で、走り回りながら、元気に、自分で自分を守ること、体験していただきました。ご参加してくださったみなさま、本当にありがとうございました。

AERA「子どもが犯罪に遭いにくい町」

子どもの視野を実際に体験してみよう
子どもの視野を実際に体験してみよう

8月5日発売AERAにて「子どもが犯罪に遭いにくい町」が掲載されています。私たちの防犯教室も取材していただきました。ちょっとした隙に犯罪は起こります。その隙を町全体で埋めるのがまず大事なことですが、それが不完全な場合、子どもが襲われる確率も高くなります。その際に子どもが自分でどう守るか、知って体験しておかなければなりません。

今回AERAでは犯罪が起こる町の原因を探るとともに、子ども自身に力をつけるにはどうしたらよいかを、探っています。お時間があれば、お手に取ってみてみてください。

防犯ボランティアが安全教育の先生に!

昨日は、静岡県主催の、体験型防犯教室「あぶトレ」が行われました。講師は、県の防犯まちづくりアドバイザーのみなさんでした。学校との打ち合わせ、授業の組み立て、準備、すべてアドバイザーの方々が行いました。しかも昨日は1年生を一時間、2年生を1時間と、かなり大変なスケジュールでしたが、学年によって内容も少し変え、とてもよい授業でした。

今回は県の中部のアドバイザーが中心でしたが、次回から東部、西部と続きます。防犯ボランティアの方々が安全教育の先生として学校のカリキュラムに入っていく、素晴らしい第一歩でした。