子どもを守るための地域の取り組み(静岡や福岡から)


色々あった先週の締めくくりは、福岡での安全安心まちづくり交流会でした。午前中の交流会では、参加者の方々に、子どもへの体験型安全教室の内容を(無理矢理)体験していただき、実際に子どもたちに伝えてほしいことをお話ししました。



 子どもに伝えるには、じつは、よくよく理論がわかっていないと、おざなりな授業になってしまいます。なので、本当は、もっと丁寧に講義をしたかったのですが、時間が短く申し訳ございませんでした。



 私がよく通っている静岡の皆さんによる授業を、全国の方にも見てい
ただきたいなとつくづく思います。皆さんかなり勉強を繰り返し、子どもたちの前で失敗をしながら恥じもかきながら、精一杯、授業をしてくださっています。

 簡単に上手にはできるものではないのですが、あきらめず、理想を持ちながら精進されている姿は、全国の防犯ボランティアの方々を力づけると思います。

 クローズアップ現代では、「質問を待たずにどんどんお話し下さい」という国谷さんのやさしさに甘え、勢い込んで突っ走ってしゃべってしまいました。お聞き苦しく、よくわからないこともあったと思います。伝えたかったことを的確に伝えるのは難しい、とつくづく感じました。静岡に関しても、もっとお話ししたかったのですが、静岡の皆様ごめんなさい。

 防犯まちづくりは結局人づくりだと思います。福岡では、人を育てていきたい、というお気持ちが沢山あることがわかりました。これからの福岡の街づくりに希望が湧いた土曜日でした。

 写真は、静岡の東部の防犯まちづくりアドバイザーの方が制作したセット。コンパクトに持ち運べるように工夫されています。

子ども自身に自分で自分を守る力をつける「あぶトレ」

指導案を練る静岡のボランティア先生方
指導案を練る静岡のボランティア先生方

子ども自身に犯罪から身を守る力をつけるために、静岡県では「あぶトレ」を行っています。教えるのは、体験型防犯教室の資格を持った防犯ボランティアの先生方。発達段階に沿って、しっかり力をつけ、ゆくゆくは静岡の安全を支える大人を育てることを目的として、昨年から行われています。パトロールから教育へ。新しい一歩です。くわしくはこちらのHPをご覧ください。

http://www.pref.shizuoka.jp/kenmin/km-110a/26abutore.html

犯罪から子どもを守るためにー富士市防犯まちづくり講演会ー

昨日、富士市の防犯まちづくり大会で、清永奈穂が講師として子ども・女性・高齢者の安全についてお話ししました。話しの中心は、犯罪者の行動を知る、ということと子どもへの犯罪をどう防ぐか、でした。

 講演の中で、下記のような「現代の犯罪者気質6つの一般的特徴」についてお話ししました。

①いかなる犯罪者でも犯行時はおびえている

②プロになるほど高い知能・技術・豊富な情報(常時学習)

③高い偏執性ー妄想性

④社会や周辺への強い被害意識ー復讐心

⑤巧みな自己弁護ー強い中和の精神

⑥あきらめ悪く、隙あれば何度でも繰り返し襲い、みえはり

そして、いかなる犯罪者でも、突然被害者の目の前に現れていきなり犯行を犯すのではなく、犯罪者が被害者に到達するまで線となって動いている。その線を妨害するような何らかの防止策が入れば、犯罪者が被害者を襲うことを防げる、ということをお話ししました。

防止策の基本形は、8つあります。遮断、威嚇、阻止、回避、強化・教育、乖離、強制(教育)、そして環境改善です。(詳しくは「犯罪者はどこに目をつけているか」新潮新書、または「防犯環境設計の基礎」彰国社))

 犯罪者は、情報を集め、周到に準備し、行動します。防ぐ方も、防犯データを集め、犯罪に対して十分に準備し、ふせがなければなりません。事件が起きるたびになぜ防げなかったのか、悔しさがつのります。今月来月は防犯月間が始まるため、講演等が増えます。各地でできる限りのことをお伝えできたらと思っています。

写真は、静岡での安全教室の途中の休み時間に、質問に来てくれた女の子とお話ししているところです。「こうなったらどうなっちゃうんだろう、こわいな」と相談に来てくれました。子どもたちとのこういう一つ一つの会話も大事にしていきたいと思います。

石川県中能登での犯罪から子どもを守るための体験型安全教室

PTA会長さんもお手伝いしてくださいました。

石川県中能登で、犯罪から子どもを守るための体験型安全教室が行われ、講師として当機構講師と、金沢市森山小学校で安全教室をされている西岡先生が参り授業を行いました。

この地区では、連れ去り未遂事件が昨年おこり、子どもたちにぜひ、体験学習を受けさせたいという校長先生の熱意で実現したこの教室。一学年ずつ、授業を行い、子どもたちは一生懸命授業を受けてくれました。

中央区社会福祉協議会「イナッこ教室」での「親子でサバイバル」講座

8秒の大事な意味について説明
8秒の大事な意味について説明

 8月3日、中央区社会福祉協議会が夏に行う「イナッこ教室」で、防災防犯を親子で学ぶ「親子でサバイバル」講座が行われました。今回の講師は、中央区で、防災や点字、読み聞かせ、などの講師をしたりボランティアをしながら新しい社会福祉活動についていつも考え活動している「ディスカバリー」の皆さんと私たちです。今回は一時間半で、防災と、防犯について体験型の安全教室を行いました。

つえを使って、歩いてみましょう
つえを使って、歩いてみましょう

防災は、5分8秒を生き残る、をテーマに、「カメ・ウサギ・コアラのポーズ」から始まり、トンネル、降ってくるものをよける、倒れてくるものをさける等々、体を動かしながら行いました。今回の特色としては、社会福祉協議会で行う事なので、車いすの方がいたらどのように助けたらよいか、目の不自由な方がいたらどうしたらよいか、自分も煙などで目が見えなくなったらどうしたらよいか、など、実際に車いすやつえを使って体験しました。

災害の時、車いすはどうしたらよいの?
災害の時、車いすはどうしたらよいの?

犯罪については、倉敷の事件を受け、声掛けや、走って逃げる、声を出すなどなど基本的なプログラムとともに、中央区の多くの方が住む、高層マンションでのエレベーターの乗り方や、普段からの近所づきあいのコツなどについても、お話がありました。

 今回の講師の方々は、中央区在住です。中央区に住む方ならではの気づきがあり、これこそが、地域で地域の子どもを育てる、ことだと思いました。私たちの基本プログラムだけではできないことです、。このように、私たちと、地域の先生が一緒になって行うことが、より一層地域の実情に沿った、体験学習になると思います。

防災の日を前に今、色々なところで沢山の防災に関する情報が出ています。あらためて、この機会に身の回りの安全見直してみるのもよいのではないでしょうか。

栃木県ぼうはんカレッジ2014

6月29日、栃木県ぼうはんカレッジでお話ししました。今市の女児殺害事件の容疑者が逮捕されましたが、事件の傷は、地元では癒えていません。今後、どのように子ども見守り活動をしていけばよいのか、会場の方と一緒に、考えました。結論としては、やはり、子ども自身が、危機を知り、考え、勇気を出して行動できるよう、地域が教育していく、ということでした。

 今年で3年目の栃木での講演。毎年毎年、貴重な機会をいただき、感謝申し上げます。

文京区スクールガード研修会

地域を歩いてみよう

7月2日、文京区スクールガード研修会で、通学路の子どもの安全確保についてお話ししました。子どもたちがどこで、どのような被害に遭っているか、最近の性犯罪者のタイプ、そしてどのように守ればよいのか。1時間半の研修でしたが、非常に、お母さんたちのご意見が活発で、内容の濃い物になったと思います。文京区は比較的、安全な地域です。が、しかし犯罪というのは、転移性があります。時間を変え、場所を変え、内容を変え、人を変え、「やりやすい」ほうに移ってきます。継続性のない活動は、犯罪者に隙を与えてしまいます。保護者も、地域も、こどもたちもが一緒にやっていけることを、もっと文京区で考えて行きたいと強く思った会でした。

子どもの安全確保について栃木県教育委員会で講演します。

栃木・今市市(現在の日光市)で、2005年、当時小学校1年生の吉田有希ちゃんが行方不明となり、茨城県内で殺害されているのが見つかりました。この事件で、別の事件で逮捕・起訴されている男が、女の子殺害の疑いで、6月3日午後に逮捕されました。まだ詳細はわかりません。全てが解明されるには、まだ時間がかかるかもしれません。

栃木では、この事件をきっかけに、子どもの通学路の安全に関して、パトロールを増やすなど工夫され、防犯ボランティアの活動も非常にさかんになりました。二度と同じような事件を起こさない、との気持ちで臨んでこられた方も多いと思います。

 弊所では、この何年間も、栃木県危機管理課で子どもの通学路の安全確保に関して講演をさせていただいておりますが、今年度は、教育委員会が主催するスクールガードリーダー研修会でもお話しさせていただきます。子どもを守るために、地域が何ができるか、参加者の皆さんと、改めて考えて行きたいと思っています。

なお、今市の事件に関しては特別顧問の清永賢二等弊所研究員が事件直後に分析しております。詳しくはこちらステップ総合研究所「事件現場に学ぶ②今市」をご覧ください。